園児とピアニカ
年長さんでピアニカ
うちの息子は幼稚園の年長組です。
この世界に生まれて、たった5年しか経っていません。
この世の仕組みも決まり事も、まだよく知りません。
愛想だけが取り柄です。
それでも、とても厳しい幼稚園に通っています。
7月の音楽会のため、ピアニカ、ハーモニカ、合奏、合唱、
全部で5曲、日々練習を重ねております。
練習してはいるものの、指がなめらかに動きませんし、
次の音を忘れて途中で止まったりします。
きちんと演奏ができないので、私が幼稚園に迎えに行くたびに、
先生からお叱りを受けます。
母親が直接怒られるわけではありませんが、
先生が「今日も練習の時に叱られたね。これからどうするの?」と
子供に問い詰め、「合奏、ばんがります!」と言わされます。
( がんばる→ばんがる と言ってしまいます 笑 )
それを横で聞かされ、私も「申し訳ありません」と頭を下げます。
「週末に特訓します」と言わざるを得なくなります。
猛特訓とはいえ
約束した手前、特訓しなければなりませんが、
息子はなかなか練習しません。1回吹いたら、すぐに遊びたがります。
「30回吹くまで、ご飯なし!」と言っても、知らん顔。
で、夕ご飯の時間になり、
「30回練習できてないから、ママだけ先に食べるね!」
と声をかけ、さっさとダイニングへ行こうとすると、
「おなかすいたー。僕も食べたい」と泣きます。
そりゃそうです。まだ5歳の子供が、そっかじゃあ30回頑張ろうとは
思わないでしょう。
それでも「だめ!先生にも約束したから絶対30回練習して!」と無理やり
練習させ、そのたどたどしいピアニカの『大きな古時計』を聞きながら、
私だけ食卓につきました。
最初3回くらいは続けて吹いていたので、このまま練習するなら、
終わるまで待っていようとじっと聞いていたのですが、
その後また音が止まり、リビングで遊び出した様子。
もう知らん!私だけ先に食べ始めました。
「おなか、すいたっ!」子供がダイニングテーブルにやって来ましたが、
あくまで練習しないと食べさせないという態度を変えませんでした。
いつも夕飯は18時に食べるのですが、もうすぐ19時。
空腹だし、難しい曲の練習は辛いだろうとは思うのですが、
月曜日に練習の成果がないと、また親子共々怒られるのがイヤで
子供に厳しくなってしまいます。
同じ学年の子供60人くらいで舞台に立つため、ピアニカは縦に持ち
鍵盤を横からみるかたちで吹きます。
うちの息子は体が小さいので(前から2番目)、その吹き方だと
鍵盤がよく見えません。指もまだ短いので、レからソまで届きません。
30回も続けて練習すると、ピアニカを支える左手も痛くなってきます。
課題曲も♯がついた曲です。ファは半音上げて黒鍵を弾かなければいけません。
ピアノを習わせているわけでもなく、5歳児にこの練習は過酷です。
それでも練習させないといけないのか、私の中でも葛藤があります。
『大きな古時計』の楽譜を見て、「一番上の段だけ10回吹いたら、
ご飯食べなさい。で、寝るまでにあと10回練習しなさい。」と指示。
手が痛いと半泣きになりながら、なんとか10回終え、食事をさせました。
いつもより食事が遅くなったので、先にシャワーを浴びて、寝る準備をしてから
練習再開をと思ったのですが、息子の体を拭きながらふとお腹を見ると
赤い斑点が広がっていました。慌てて背中を見ると、やはりこちらも!
ただでさえ疲れる梅雨時、練習がきつかったのか、怒られてばかりで
精神的に辛かったのか、蕁麻疹(じんましん)が出てしまいました。
普段は丈夫でほとんど熱もださない息子が可哀想になって、
「今日はもう練習しなくていいから、すぐに寝なさい」と寝かせました。
早期教育って誰のため?
幼稚園児の息子にどこまで練習を強要しないといけないのか、
正直私は分かりません。
もっと自由な園に通わせれば良かったのか、
それも本当のところは分かりません。
私が5歳の時、何が出来て何が出来なかったか、よく覚えていません。
今、早期教育を勧めている本やメディアは多いです。
子供の習い事を6つも7つもさせている親もいます。
それって、本当に子供のためですか?